インターネット上の写真や動画、その信憑性を確認する3つの視点
インターネット上の情報を見極める大切さ
インターネット上には、日々多くの写真や動画が公開されています。これらは、遠く離れた場所の出来事を私たちに伝えてくれたり、古い記憶を呼び起こしたりと、私たちの生活を豊かにする素晴らしい情報源です。しかし、残念ながら、中には事実と異なる内容が含まれていたり、意図的に加工されたりした写真や動画が拡散されることも少なくありません。
特に、デジタル情報の扱いに慣れていない方々にとっては、「何が本当で、何がそうではないのか」を見極めることは、時に難しく感じられるかもしれません。私たちが「メディア情報の見方」で目指しているのは、そうした不安を解消し、ご自身で情報の信頼性を判断できる力を身につけていただくことです。
この記事では、インターネット上で写真や動画を目にした際に、それが本当にあった出来事を伝えているのかどうかを確認するための、具体的な3つの視点をご紹介いたします。これらは、特別な技術がなくても実践できる、簡単な確認方法です。
1.情報源と発信者を確認する
まず最も大切なことは、「誰が、どのような場所からその写真や動画を公開しているのか」を確認することです。
具体的な確認のポイント
- 公開元は信頼できる組織か:
- その写真や動画が、公的な機関(例えば、省庁や自治体の公式ウェブサイト)や、大手報道機関の公式ニュースサイト、または専門分野の権威ある団体のサイトで公開されている場合、比較的信頼性が高いと考えられます。
- これらの組織は、情報の正確性について厳格な基準を設けていることが多いためです。
- 個人が発信している場合は慎重に:
- 個人のブログや、ソーシャルメディア(LINE、Facebook、X(旧Twitter)など)の投稿として写真や動画が共有されている場合、その情報にはより慎重な姿勢で臨む必要があります。
- 発信者個人の見解や誤解が含まれている可能性も考慮に入れるべきでしょう。
- もしソーシャルメディアの投稿であれば、そのアカウントが過去にどのような情報を発信しているか、不自然な点がないか、多くの人から信頼されているアカウントなのか、といった点も参考にすることができます。
2.写真や動画に「不自然さ」がないか目を凝らす
現代のデジタル技術を使えば、写真や動画をあたかも本物であるかのように加工することが容易になりました。そのため、見た目に不自然な点がないか、注意深く観察する習慣をつけましょう。
具体的な確認のポイント
- 画像の一部に不自然な加工がないか:
- 背景の建物や人物の輪郭が歪んでいないか、影の向きが不自然ではないか、特定の場所だけ画質が異なっていないかなど、細部をよく見てみましょう。
- 空の色や天候、写っている人々の服装、季節感が、伝えられている状況と矛盾していないかも確認します。
- 動画の場合は動きの連続性を確認する:
- 動画の場合、場面の切り替わりが不自然に速かったり、映像が急に飛んだりしていないかを確認します。
- 声と口の動きが合っているか、不自然な繰り返しがないかといった点も、偽造された動画を見分ける手がかりになることがあります。
3.他の情報源と比較・照合する
一つの情報だけで判断を下さず、複数の異なる情報源で同じ内容が報じられているかを確認する習慣を持つことが、情報の真偽を見極める上で非常に重要です。
具体的な確認のポイント
- 大手報道機関の情報を検索する:
- その写真や動画が報じている出来事について、普段から信頼している大手ニュースサイトや通信社のウェブサイトで検索してみます。
- 複数の信頼できる情報源が同じ内容を報じているのであれば、その情報の信憑性は高いと言えるでしょう。
- 過去に同じ写真が使われていないか調べる:
- インターネット上には、過去に撮影された古い写真を、まるで最近起こった出来事のように見せかけて使用する事例も少なくありません。
- このような場合、「画像検索」という機能が役立ちます。例えば、Googleの画像検索では、見たい写真の上でマウスの右ボタンをクリックし、「画像検索」を選ぶと、その写真がインターネット上で他にどこに表示されているか調べることができます。これにより、写真がいつから、どのような文脈で使われているかを確認できることがあります。
- この機能は少し難しく感じるかもしれませんが、試してみる価値は十分にあります。
まとめ
インターネット上の写真や動画は、私たちの情報収集において非常に強力な手段ですが、その分、情報の真偽を見極めるための慎重な判断が求められます。
この記事でご紹介した「情報源と発信者の確認」「写真や動画の不自然さへの着目」「他の情報源との比較・照合」という3つの視点を活用することで、情報の真偽を見極める力が養われます。これらは、すぐに実行できることばかりですので、ぜひ日々の情報収集にお役立てください。